パリの恋人 第9話 |
テヨンとギジュの関係が進んで行くにつれ、どんどん思いつめていくスヒョクに心が痛む。
ギジュの婚約式、仕切ったのは全部ムン家?簡素な式も婚約指輪もムン家が?
何かの秘密を握られて、断れない婚約するしかないハン家の人々、ギヘなんて全然笑ってないですもん。それに比べて、名門に嫁がせることや秘密を握ってるからこれからハン家をいいようにできるとほくそえんでるムン家が卑しいわ。
礼服着て落ち込んでるギジュを見て、スヒョクも思い通りにならない人生を歩むしかないギジュに同情してるようだけど。
「婚約はしません。式は中止します」っていきなり言うギジュ。騒然となる会場。
「僕の名前、社長の肩書き、離婚歴、今後うわべだけの結婚生活を送ること以外に、
僕の何を知ってる?」とユナに聞くギジュ。
「一生泣き続けるより、今日だけ泣いて忘れては?」とユナに言い放ち、
父には「僕は(道具じゃなく)ただの息子でいたい」と言って、会場を立ち去るギジュ。
洗車場でたそがれてたテヨン。カラ元気出して仕事しようとしてたところへ一台の車が突っ込んでくる。
「ピカピカの車が私の収入源を壊したのよ!」中が見えない車の運転手に向かってわめきたてるテヨン。すうっとウィンドウが開いて、中にいたのはサングラスかけてるギジュ!
「いくら払えばいい?」
「・・・・・・」
「驚いたか?」
「今日は婚約式でしょう?」
「そうさ」
「なぜ・・ここへ?」
「式の途中で、洗車忘れてるのを思い出して」
「冗談ですか?」
「メニューもステーキじゃなくてカルビスープだとさ。それで洗車はいくら?」
パリではじめてであったのも、テヨンが店番してたタバコの屋台を壊したっていう、これとおんなじ会話から始まった二人。カルビスープもギジュがテヨンに婚約式に来るかって聞いたときの答え、ステーキならね。カルビスープなら行かないわっていうのが前にあったから。
ステーキ食べてるギジュ。
「ジロジロ見てないで食べろよ」
「結構です。喉を通らないわ」
「なぜ?」
「何があったか心配で。よりによってなぜ今会いに?クビにしたくせに」
「僕がしなければ、おやじがクビにしてた。そのほうが傷つくだろう?」
(自分のためにわざとやったんだって知ったテヨン。ちょっと微笑む)
帰ろうとするテヨンに、
「あ~、食べてくれ、一緒に。座ってるだけでいい。一人で食べたくない。悩みがあると腹が減る。食べろよ。婚約式をすっぽかしてきたんだ」
驚いて目が丸くなるテヨン。
「式を?なぜ?」
「カルビスープを出されたから。食べたらどうする?」
「食べるといいました?」
「食べるだろ。その次なにをする?」
「家に帰らないと」
「送ろうか?・・・送るよ。君の願いをかなえよう。
しおれた花みたいに座ってろ。僕が肩を抱き、ぼさぼさの髪をなで、家の門まで送れば完璧だろ?
いや、その前に散歩はどうだ?・・・・いわゆるデートってやつだ」
驚きと喜びでいっぱいのテヨンの目に涙が。
テヨンが失業した日に来た公園。ちゃんとデートらしく扱ってるギジュがなんともお茶目。
「久しぶりに来たな」「嘘ばっかり」とポラロイド見せるテヨン。「今度は部下を使ったら?」
「なぜ僕がここに?」「知りませんよ」「写りが悪いから没収だ」強引にテヨンの写真もらっちゃったギジュ(笑)
「答えたくないでしょうけど、もう一度だけ聞くわね。なぜ式をすっぽかしたの?」
「・・・怖かった。きっぱり断る方法もないし、戦う力もない。一番卑怯な方法を選んだ。逃走だ。
・・・飛び出した後、気付いた。行く当てがない。頭に浮かんだのは・・・」
「誰?」
ギジュが、こくんって顎でテヨンを(お前の事だよ)ってさす仕草がたまんない!
ほほえむテヨン。「スヒョクもいるのに」「あいつはいいやつだ」・・・なみだ目のテヨン。
スヒョクはギジュの部屋に、パリから持ち帰って、大事にとってある、テヨンの家政婦してたときのメモをみつけちゃう。そういうギジュにショック受けるスヒョク。そこにユナから呼び出しが。
テヨンのところにいるに違いないといきまくユナに、スヒョクは、
「強引に押しかけて、彼女を傷つけないで欲しい。強そうに見えるけど、デリケートな子だから」
テヨンを家の前まで送ったギジュ。
「完璧か?」「100点満点で1000点よ。じゃ、後始末頑張ってね」
「泊まっても?」「?」
「ホテルには行かれない」「どこに?」
「君の家」「ダメよ。部屋もないわ」ってボロ屋を見せるのをためらうテヨンだけど。
「薄情なやつだな。パリでは泊めてやって、ケーキまで食べさせて、写真立てをこわした事にも目をつぶったのに。一晩世話になる」
ギジュは強引に部屋の中へ。
簡素な部屋と、礼服でかしこまるギジュ、びっくりしてるカン叔父さんが笑える~。
すごいミスマッチ。用があるからと変な気を回して外出する叔父さんとゴン。
「叔父さんの髪型はユニークだな」「人生自体が変ですから」大笑い。
扇風機は壊れてるし、トイレのドアは開かないし、ボロボロなテヨンの家。
テヨン、パリでは分電器のショートも直せなかったけど、ここではねじ回し持って慣れた手つきだ。トイレのドアノブがとれちゃって、ギジュが恥ずかしがって穴にティッシュ詰めること可笑しすぎ~。
スヒョクがテヨンの家の前にギジュの車があるのをみて、ギジュが泊まる気なのを悟る。
「携帯つかってるのか。仕事はどうだ」とテヨンに電話。「実は取り込み中で話せないのよ」と電話を切ろうとするテヨン。
「テヨン。叔父さんは高い枕が苦手で、朝起きたらまず水をいっぱい飲む。お休み」
ため息をつくスヒョク。
ギジュは部屋着に着替え中。カン叔父さんの青いジャージに着替えたギジュ。なんだかとっても変。
夜、ギジュの隣にはゴンとカン叔父さんが雑魚寝。
スヒョクの言葉を思い出して、枕を取り替えてあげるテヨン。
「ありがとう。今日は助かったよ。とても心が休まった」とギジュ。
「おやすみなさい」っていうテヨンの声がとても優しくて、眠りに落ちるギジュ・・・
外ではスヒョクが、テヨンにもらった録音機で音楽聞きながら、眠れぬ夜を明かす・・・
ひとり寂しく・・・
そして、朝刊には「ハン社長、式場で婚約破棄」一面にデカデカと記事が。
ギジュが車に戻ってみると、ワイパーに新聞が挟んである。周りを見回すギジュ・・・
テヨンが目覚めてみると、ギジュはジャージをきちんとたたんで帰った後。昨日返したはずのお金が入った封筒がおいてある。
礼服のまま出社したギジュ。スヒョクが着替えを持って待っていた。
「婚約指輪は本人から返してもらうって。うちで大丈夫な人間は1人もいないのに、当の本人は案外元気そうだな」
「(新聞をみせて)これ置いたのお前か?」
「心配でさ」
「俺が?テヨン?」
「両方だ」
会長から怒られるギジュ。でも「また政略結婚なんて。どんな弱みを握られてるんだ」と反論する。
ユナに指輪を返すギジュ。でもその指輪を自分ではめて、
「誰がなんと言おうと、私は婚約したのよ」
「僕が理解できないのか?」
「できても認めない。すべてテヨンのせい?彼女とは不似合いよ」
「君は論外だ」
ギジュにきつくいわれても「決めるのは私よ」とあくまで強気なユナ。
スンギョンはギジュが誰のところに泊まったのか気になって、テヨンを呼び出す。
ギジュは姉ギヘに会う。
「ごめんね、何もできなくて。私も父も早く死んで、スヒョクもあなたも自由になればいいのに」
と泣く姉に、「死にたくなるほど悪い事したかな?」「いいえ、悪いのは他の人よ」
姉の様子を不審に思うギジュ。
洗車場で働くテヨンを、物陰から見つめるスヒョク。おいおいどうどうと会いに行けばいいのに。
パリではのびのびしてたのに、韓国ではストーカーチックになってしまったな。
テヨンと話し合うスヒョク。じ~と何も言わずテヨンを見つめる。
「きのう近くまで来てたの?寄ればよかったのに」
「定員オーバーだろ」
しょうがない、思い切って話すしかないと、
「ギジュさんが、泊まるところがないって」
「お前バカか?GD自動車の社長で、国内の社員は2万人以上、サイン1つで経済を動かせる。
一晩の宿に困るような男か?」
「きっと、心が休まるところを求めてたのよ」
「ああ、それがお前の家だからむかつく。
これ、お前がくれただろう(録音機みせて)この中に20曲入ってる。きのうこれを何回聞いたと思う?20曲を6回、叔父さんの車の前で。
これからは、もう我慢したりしない。先を越されたくないんだ」
そんなスヒョクに耐え切れず、約束があるからと立ち去るテヨン。振り向いて、
「ごめん。本当にごめんね。また今度、一緒にその曲を聞こうね。じゃあ」
去って行くテヨンを、じ~と見つめるスヒョク。
スヒョクの気持ちは分かる。追いつめられた気持ち、でも、テヨンを追いつめちゃダメだよ。
離れて行く一方だよ。でも、ここで一度ゆっくり付き合ってあげたら、この先スヒョクがあんなにならなかったのにねぇ。
テヨンはギジュの会社へ。そこでユナとばったり。ユナ母と会長は何やら秘密の話し合い。
口止めしたいなら式を早くとユナ母。
ユナはギジュに聞かれたことをそのままテヨンに言う。
「彼の名前、離婚歴、社長の肩書き、高級車を乗り回してること、他に何を知ってる?」
テヨンは即答する。
「ええ、すべて持ってる一方で、実は何も持っていない。
ブタの貯金箱で小銭をためた事もないし、トッポギを食べた事もない。
人前で泣いた事がなくて・・・記憶はあるけど思い出はない。
社長以外の人生を考えた事もない。
自分の影すら知らないかも。うつむいて歩いた事ないからよ」
悔しそうなユナ。そして廊下でそれを立ち聞きしてたギジュ。
「会いに来たなら寄り道せず直行しろ。来い」
聞かれちゃったかなってテヨン。
「お金を忘れたから持っていくっていうのを口実に、様子を見に来たの。心配で。
朝ごはんも食べずに行っちゃったから。でも大丈夫そうね。お仕事してね。じゃあ」
「わざと置いた。また会いたくて」そんなギジュに微笑むテヨン。微笑みあう二人。
そこへ会長が!